優等生・オムロンが苦境、黒字なのに「2000人リストラ」のワケ

 大手電気機器メーカーであるオムロンが業績の不振に苦しんでいる。

 オムロンは、ファクトリーオートメーション(FA)向け機器を取り扱う制御機器事業をはじめとして、血圧計などを手掛けるヘルスケア事業、太陽光などのエネルギー事業を持つ社会システム事業、リレー(継電器)などの部品を製造する電子部品事業などを抱えている。京都府京都市に本拠地を置く優良企業を指す「京都銘柄」としても名高いメーカーの一つだ。2023年10月には、医療ビッグデータ収集を手掛けるJMDCを買収し、データソリューション事業に進出を果たしている。

オムロンの23年3月期の業績は、売上高が約8760億円、営業利益(=売上高-売上原価-販売費及び一般管理費〔販管費〕-試験研究開発費)が約1010億円と絶好調だった。しかし、24年3月期には売上高が約8190億円、営業利益は約340億円と大きく業績を落とすこととなった。

 業績の低迷を受けてオムロンでは、24年2月に国内と海外でそれぞれ約1000人、合計で約2000人の人員削減を行うことを発表した。これは、24年3月末時点での連結従業員数(2万8450人)の約7%に当たる大規模なリストラだ。

 オムロンは、早くからROIC(投下資本利益率)をKPI(重要業績指標)として経営に取り入れ、「ROIC経営」を実践している企業としても知られている。ROICは、その名の通り、投下資本(事業に対して投下したお金=有利子負債+純資産)に対してどれだけ利益を出すことができたかを表す指標だ。資本コストや株価との関連が深いため、資本効率を踏まえた業績指標として注目する企業が急増している。

 そんな「ROIC経営の優等生」であるオムロンが苦境に陥った原因は、何だったのだろうか。

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